Tachikawa Group > About us



  Welcome!!
 横浜市立大学 大学院生命ナノシステム科学研究科 ナノシステム科学専攻
量子物理化学研究室(立川&北グループ)へ、ようこそ!!

▼ 2011年度の量子物理化学研究室の紹介をします。▼




 目次
  (1)量子物理化学研究室
  (2)計算科学(理論科学)研究の強み
  (3)学部科目との関係
  (4)研究室での勉強と研究
   (4-1)3年次(仮)配属時の勉強
   (4-2)4年次本配属時の研究スタート
   (4-3)4年次後期の研究
   (4-4)大学院での研究
  (5)OB、OGの簡単な紹介
  (6)計算機に関して
  (7)研究室活動
  (8)最後に



  (1)量子物理化学研究室
 物理学・化学・生命科学、そしてそれらの境界領域には、とてつもなく広大な「未開の地」が拡がっています。私たちは、計算科学によるシミュレーションを駆使して、様々な自然現象の理解、そして新しい現象の予測・発見に挑み、この「新たな地」を果敢に開拓しています。またそのための新しい理論手法・計算手法の開発も、私たちにとっては大変重要な研究テーマの一つです。

 量子物理化学研究室は、今年で7年目を迎えました。最近では、水素結合を精密に取扱う手法の開発、変分エネルギーの世界記録の樹立、酵素中における反応機構の解明、などといった成果を挙げています。このような成果に対し、量子物理化学研究室は、平成19年度文部科学大臣表彰科学技術賞(若手科学者賞)をいただきました。また大学院学生が果敢に挑戦したテーマが評価され、平成19年度、20年度と2年連続で、日本化学会春季大会学生講演賞に輝いた例もあります。これらの受賞は本人だけではなく、量子物理化学研究室全体にとっても、大変大きな励みとなっています。



  (2)計算科学(理論科学)研究の強み
 計算科学(理論科学)によるシミュレーションを駆使することで、短寿命、超高圧、極低温、さらには危険物質など、実験科学では取扱いが不可能、もしくは取扱いが極めて困難な現象・系でさえも、私たちにとっては大変興味深い研究対象となります。例えば、量子化学計算で得られる「波動関数」や分子動力学計算で得られる「反応軌跡」を解析することで、実験だけでは直接得ることが困難な遷移状態や反応機構(メカニズム)の理解、そしてその理解に基づいた予測・設計が可能となるわけです。

 また私たちの研究テーマは、(1)で述べたように、物理学・化学・生命科学、さらにはそれらの境界領域(例えば、材料科学・生体超分子科学・機能性材料設計など)等、非常に多岐に及んでいます。これも計算科学(理論科学)研究の一つの魅力と言えるでしょう。



  (3)学部科目との関係
 立川が担当する以下の学部科目は、量子物理化学研究室にとっては基礎的な内容として位置づけられます。

 1年後期: 化学結合論、自然科学シミュレーション
 2年前期: 量子物理化学研究室体験ゼミ(自然科学ゼミ)
 2年後期: 波動としての電子、(自然科学シミュレーション)
 3年前期: 分子構造科学
 3年後期: シミュレーション実験

 以上の科目や基礎数学(微分積分、線形代数)以外にも、基礎物理学(力学、電磁気、統計力学、量子力学)、基礎化学(有機化学、無機化学、物理化学)、基礎生命科学を履修していることが望ましいです。いつも講義で言っていますが、基礎力(武器)の習得(勉強)は、今後の研究を遂行する上で非常に大切です。できるだけ早いうちに、きちんと理解して自分のものにしておきましょう。

 (…とはいえ、3年次前期までに全てを理解するのは難しいもの。理解が足りないと思ったら、研究室に配属(もしくは仮配属)されてから頑張りましょう。)



  (4)研究室での勉強と研究
  (4−1)3年次(仮)配属時の勉強
 (仮)配属が決まったら、3年次夏休みから基礎理論を「勉強(復習)」します。教科書として、
  ・「新しい量子化学(上)」Szabo&Ostlund、東京大学出版会
を使用します。基礎数学、基礎量子力学、基礎量子化学、第一原理計算手法に関して、ゼミ形式(:自分でレジュメを作成して、全員の前で説明および発表)で勉強(復習)します。

 量子物理化学研究室では、理論を具現化するための道具として、コンピュータ(計算機)を使います。研究室の(仮)配属に際し、計算機に対する特別な知識は必ずしも必要ありませんが、(仮)配属後は講習会を通して計算機に関する勉強をします。計算機は、実験科学でいうとビーカーやフラスコ、さらには先端物性測定実習で使用した多彩な測定装置に対応します。計算機を用いたシミュレーションは、それらの器具・装置を使った合成反応実験や、物質創製実験、測定実験に対応しますので、我々の研究室ではどうしても計算機の使用が必須となります。

 また本年度は特別な行事、文部科学省主催の「ひらめき☆ときめきサイエンス」、を8月6日(木)に開催します。この「ひらめき☆…」に、横浜市立大学では、量子物理化学研究室が採択されました。当日は約40名の高校生が来ますので、お手伝いを宜しくお願い致します。。。

  (4−2)4年次本配属時の研究スタート
 4年次本配属が決まったら、今度は「研究」をします。研究とは、今まで世界中の誰も解いていない問題を探し出し、そしてその問題を解決していくことです。さらにその成果を発信し、社会に還元していく必要があります。「誰も解いていない問題」ですから、当然ですが、模範解答やマニュアルは存在しません。

 とは言いつつ、4年次でいきなり研究テーマを探し出すのは極めて困難なです。そこで量子物理化学研究室では、卒業論文用に、いくつかの独立した研究テーマを用意します。テーマによっては、例えば有機化学、生命科学、材料科学、物性物理学など実験科学が大きく関連する場合もあります。基礎数学、応用数学、理論物理学、情報科学など計算科学が主となる場合もあります。皆さんと充分に相談しながら、各自に適した卒業研究テーマを決定していきます。

 卒業研究テーマが決まったら、その内容に関する最新の英語論文を読みます。専門用語(テクニカルターム)は、今まで勉強して覚えてきた意味(和訳)とは異なる場合があります。独特な表現方法も多々あります。将来、自分の研究成果を英語で発信することを意識して、今のうちから英語論文を読破しておきましょう。

 卒業研究では、スタッフや先輩方と議論しながら研究を進めていきます。週一回実施される研究室セミナーでは、全員の前で、その週に行った研究進捗状況を報告します。どのように発表したら相手に理解してもらうことができるのか、そのための予備資料(レジュメ)をどのように作成すればよいのか、研究室セミナーを通して発表能力を身につけていきます。一方、他のメンバーの発表時には、必ず質問をしてもらいます。議論をする上では、疑問点の洗い出し、質問、そしてそれに対する応答は、とても大切です。

  (4−3)4年次後期の研究
 卒業研究の頑張り市大によっては、9月に開催される「分子科学討論会」にてその成果を発表します。12月に開催される他大学との合同シンポジウムでは、4年生全員が「口頭発表」の機会を与えられます。他大学の先生の前で各自の研究成果を発表しますので、もちろん緊張するでしょう。しかしこの「口頭発表」が、後々、大変良い経験として活きてきます。

 冬休みも過ぎ、2月の卒業論文発表会の頃には、研究成果がまとまり始めます。中には、卒業論文発表会までに研究成果を英語でまとめ上げ、一流の学会誌に投稿した学生もいます。いずれにしろ仕上げた卒業論文は、英語でまとめ上げます。そして学会誌に投稿し、その研究内容を審査員(Referees)に納得させる必要があります。

  (4−4)大学院での研究
 本格的な「研究活動」に入ります。修士1年次前期のうちは講義科目も多いので、なかなか時間が取れないかもしれません。特に、他大学出身や異分野出身の学生にとっては、必要に応じて「導入科目」(学部科目)を履修しますので、なおさらです。ちなみに量子物理化学研究室では、約2割の学生が、他大学、他研究室出身者で占められています。

 修士論文では、卒業研究をさらに発展させる必要があります。人によっては、新しい研究テーマを探し出す場合もあります。いずれにしろ、スタッフや先輩方と議論しながら、修士論文の研究テーマを決めていきます。

 量子物理化学研究室では、修士課程2年間のうちに、海外国際会議・学会での成果報告を強く勧めています。海外渡航が初めての学生も何人もいましたが、皆、果敢にやり遂げました。皆さんも、是非、積極的に挑戦しましょう。

 さらに高度専門家を目指す目的で、博士後期課程も準備されています。博士後期課程では、自ら研究テーマを探し出し、それを解決していく能力が問われます。そして国内外の学会や英語による論文として、その成果を積極的に発信しなければなりません。また量子物理化学研究室では、他大学大学院出身の博士もいます。



  (5)OB、OGの簡単な紹介
 量子物理化学研究室では、国立大学の助教や、私立大学の専任講師といった、いわゆるアカデミックポジションに人材を輩出しています。もちろん、大学での教育職、研究所での研究職を目指すには、博士学位の取得は必須です。

 修士課程卒のOB、OGには、企業での研究職、技術職、また公立学校教員(理科)等がいます。最近では、企業でも計算科学を実践できる人材が必要とされています。量子物理化学研究室でも、計算科学シミュレーションの専門を活かした職に就いたOB、OGがいます。

 詳細は、直接研究室まで聞きに来て下さい。



  (6)計算機に関して
 先ず、端末用のパソコンとして、一人に一台の計算機(基本的にはWindowsマシン)を与えています。

 計算科学シミュレーションに用いるのは、並列化計算機です。量子物理化学研究室では、現在200CPU以上の計算機を所有しており、それらは理科館4階、および産学連携室に設置しています。3年次後期のシミュレーション実験で使用した並列化計算機も、私たちが管理しています。実際の研究では、例えば32CPUを二ヶ月以上も独占して使用する場合もあります。ちなみに昨年までは、八景キャンパス学内の電源事情のため、お隣にある「東急車輛製造株式会社」様の一室をお借りし、そこに当研究室の並列化計算機一式を設置していました。

 また分子科学研究所、理化学研究所、九州大学のスーパーコンピュータも使用しています。



  (7)研究室活動
 特段理由のない限り、コアタイム(朝9時30分から夕方5時)は研究室で研究しますが、殆どの学生は夜9時ごろまでは研究しています。やむを得ず休む場合や遅刻する場合は、必ずメーリングリストへ連絡して下さい。

 研究室のセミナーに関しては、1.全体ゼミ、2.Reviewゼミ、3.洋書講読ゼミ、を実施しています。詳細に関しては、以下のページを参考にして下さい。



  (8)最後に
 量子物理化学研究室は今年で7年目を迎え、ようやく研究室としての体制が整い始めてきました。先輩達のプログラムや研究内容を単に引継ぐだけではなく、さらに新たな理論手法の開発や、新たな研究領域の開拓など、今まで以上に果敢な研究テーマに挑戦していく必要があります。

 計算科学シミュレーションを駆使して挑戦したいテーマは、山ほどあります。是非、皆さんも、我々と一緒に「新たな地」を開拓しましょう。量子生命物理化学研究室一同、皆さんをお待ちしています!