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次世代シーケンサーによるエクソーム解析

遺伝学研究は既に次世代シーケンサーを用いた新しいフェーズに突入しています。当教室も最新鋭の次世代シーケンサーを積極的に導入し(Sequel, Hiseq2000 & 2500, Genome Analyzer IIx, Ion PGM, Miseqを有す)めざましい成果を挙げつつあります。ヒト全遺伝子領域のDNAのみを選択的に分画し(exome)これを次世代シーケンサーで解析することで個々の症例の全遺伝子解析が可能な時代になりました。我々はこのエクソームシーケンス解析を用いて次々と原因不明の遺伝性疾患の原因を明らかにしています。次世代シーケンスの大量な算出データから効率的に変異を探索する独自のインフォーマティクス解析を行い極めて効果的な遺伝子変異探索が可能と成っています。


マイクロアレーを用いたゲノムワイドCNV解析

マイクロアレーを用いることでヒト全ゲノムのCNV(copy number variation, コピー数の異常)解析が数日で完了します。原因不明の疾患のCNV異常が同定されれば、その領域から責任遺伝子単離が可能です。以下の疾患の研究が進行してます。

*原因不明の特発性精神遅滞関連疾患
*先天性奇形症候群(種々のメンデル遺伝病が集積中)
*精神神経疾患(自閉症スペクトラム等)
*種々の染色体異常を解析することで従来の方法では同定不明であった微細構造異常が網羅的に検出
*アフィメトリクス社・アジレント社・ロシュニンブルジェン社の全ての高密度アレーでの解析が可能
*マイクロアレーを利用して新生児難治性てんかん性脳症(大田原症候群)の遺伝子単離に成功しました(Nat Genet, 2008)
*マイクロアレーを利用して髄鞘化低形成を伴うWest症候群の単離に成功しました(Am J Hum Genet, 2010)
*染色体微細構造解析で世界最先端の解析を行っている

マイクロアレーComparative Genomic Hybridization (CGH)

全ゲノムSNPアレーを用いることで効果的なパラメトリックな解析が可能です。高密度のタイピングが可能となり小家系が数例有れば遺伝子単離が可能な時代となりました。心房中隔欠損症の大家系解析から責任遺伝子や(J Med Genet, 2004)、外眼筋繊維症の責任遺伝子(Nat Genet, 2003)、新型エーラスダンロス症候群(Hum Mut, 2010)、小眼球四肢異常症候群(Am J Hum Genet, 2011)など続々と責任遺伝子を単離しています。

マイクロアレーComparative Genomic Hybridization (CGH)

染色体異常を合併した疾患症例は、染色体異常によって疾患原因遺伝子が破壊されている可能性があり、疾患遺伝子単離の重要な解析対象となり得ます。我々はこれまでに以下のような複数の疾患で染色体異常をもとに責任遺伝子単離に成功しています。最近では難治性てんかんの遺伝子単離に成功しました。それ他手指の奇形症候群の合併染色体異常からの遺伝子単離を目指して研究を行ってます。

*ソトス症候群 (Nat Genet, 2002):この仕事はイギリスの教科書(Hum Mol Genet by Strachan and Read)にも掲載されました。
*四肢鏡像多指症 (J Hum Genet, 2002)
*肢中部短縮症 (J Med Genet, 2002)
*2型糖尿病の1タイプ (J Hum Genet, 2004)
*マルファン症候群2型 (Nat Genet, 2004)
*大田原症候群(Nat Genet, 2008)

*髄鞘化低形成を伴うWest症候群(Am J Hum Genet, 2010)

染色体異常・ゲノム病の発生メカニズム

染色体異常は疾患遺伝子単離の出発点としてだけではなく、染色体異常そのものの発生機序も大切な研究テーマです。われわれは8番染色体p23領域の特殊な構造異常解析を詳細に行いその発生機序の解明を行ってきました(Am J Hum Genet, 2001, Genomics, 2003, Am J Med Genet, 2004)。特にGenomicsの論文は、雑誌の表紙を飾ることができました。他の様々な種類の染色体異常についてもゲノムレベルでの解析を行っています。ヒトゲノムのある特定の領域にはゲノム異常(欠失や重複)が生じやすいHot spotがあることが知られています。この原因の一つとしてヒトゲノムにある特殊な構造Low copy repeat (LCR)がしられています。我々が責任遺伝子を特定したソトス症候群においても日本人症例の約半数で責任遺伝子領域の染色体微細欠失があることが判明し、現在同領域の詳細なゲノム解析が進行しています(Am J Hum Genet, 2005)。ゲノム病は、従来のゲノム解析方法では見逃されやすいため、ゲノム病を対象にした特殊な解析が必要です。またゲノム病が惹起する疾患の重要なものに精神神経疾患が想定されており、我々の重要なテーマと位置づけ研究を行っております。

マルファン症候群及びその類縁疾患・大動脈解離における分子病理の解明

2004年に行ったマルファン症候群2型の遺伝子単離(Nat Genet, 2004)は、この分野において大きな突破口となりました。マルファン症候群はその責任遺伝子FBN1が1991年に単離されましたが、それだけでは説明の付かないマルファン症候群やその類縁疾患があることが知られていました。我々は、その2番目の遺伝子単離に成功しました。この発見を契機にLoeys-Dietz症候群などの類縁疾患が発見され、治療法についての研究が進展しました。またマルファン症候群によらない一般的な解離性大動脈瘤も研究対象とし大動脈瘤関連遺伝子を搭載したアフィメトリクスリシーケンスアレーを開発しました。このアレーを用いて大動脈関連遺伝子を網羅的に1週間で解析出来るようになりました。さらに大動脈解離を来す遺伝性疾患の責任遺伝子群を迅速に解析する次世代シーケンサー解析法を導入し効率的な変異の同定を試みています。



遺伝学解析は、解析対象を適切に選択することで幅広く応用ができかつ非常に強力な手法です。当教室は解析対象を特に限定せず、オープンなスタンスで、研究を展開していきたいと考えています。楽しむ心が学問の原点です。