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研究概要

 ヒトをはじめとする多細胞生物では,一個の受精卵から細胞の増殖と分化を経て,固有の細胞機能と細胞極性を有する組織・器官が形成され,各器官の機能が統合された個体となり,生命活動が営まれます。このように細胞の増殖と分化の制御は生命の誕生と維持にとって最も重要な要素であり,その中心的な役割を果たしているものが核内で機能する転写制御因子です。何らかの原因で転写制御因子に変異が起こり,その機能が破綻すると,細胞の分化異常による機能不全,ひいては細胞のがん化に至ることがあります。

本研究室では,転写制御因子の機能発現とその制御機構について,分子構造レベルでの解析を行うとともに,分子構造に基づいた変異導入と様々な機能解析により,転写制御因子の変異によって引き起こされる分化異常やがん化の機構を解明し,創薬のための分子基盤を確立することを目指しています。実験手法としては,X線回折法による分子構造レベルでの分子間相互作用の解析,核磁気共鳴(NMR)法による分子の動的構造(揺らぎ)の解析,原子間力顕微鏡(AFM)による分子の微小形態観察,温度走査を伴う円二色性(CD)スペクトル測定による分子構造の安定性の解析などから分子構造とその性質を多角的に捉え,これらの実験から得られる知見に基づいて分子の様々な変異体を作製し,ゲルシフト法,GSTプルダウン法,表面プラズモン共鳴(SPR)法,等温滴定熱量測定(ITC)などによる分子間結合活性の解析,およびルシフェラーゼ法をはじめとする様々な機能実験による転写調節能の解析などから,精密な分子構造活性相関の研究を行っています。

我々はこれまでに,c-Myb,C/EBP,Runx1,CBFβ,c-Etsなど,造血系細胞の分化とがん化に関与する転写制御因子を中心として,分子の活性制御機構の普遍性と,がん化型変異体における活性制御の破綻の実体を解明しつつあります。また,転写制御因子の分子活性制御機構が,細胞レベルさらには個体レベルでどのように反映されるかについても検討を行う予定です。