研究概要

業績

メンバー

教室案内

講義内容

臨床研究推進の実践

リンク

YCUlogocircle


4. 神経細胞とは?

[1] 神経細胞の構造

 人間の体はすべて細胞という単位から出来ています。すべての細胞はひとつの受精卵から分裂して出来たものなので、すべて同じDNA(遺伝情報)を持っています。したがって神経細胞も例外でなく、DNAをもつ核や代謝(エネルギーの産生)を行うミトコンドリアなどを持っています。しかし、ヒトではすべての細胞が同じような働きをしているわけではありません。例えば、筋肉細胞は筋肉に役立つように分化(特定の形質を発現するように変化すること)しているし、ランゲルハンス島(脊椎動物の膵臓内に散在する内分泌線組織)のβ細胞はインスリン(体内の血糖値を下げるホルモン。低インスリンダイエット等でもおなじみですよね)を作るように分化しているわけです。 その中で、神経細胞というのは情報処理に特化したヒトなどの多細胞動物特有の細胞です。入力刺激を処理し、活動電位を発生させ、他の細胞に情報を伝達するという機能を持っています。形態は多彩でその大きさも様々。


図1 神経細胞の構造(理研のHPより引用)

 神経細胞は核とそれを取り巻く細胞質からなる細胞体と、そこから伸びる軸索と樹状突起とからなります。樹状突起は他の神経細胞から刺激を受けるいわば入力アンテナの役割を、軸索は他の細胞に刺激を伝えるいわば出力装置の役割を持っています。この伝達が行われる場にはシナプスと呼ばれる構造が形成されています。
  ヒトなどの高等な動物(円口類を除いた脊椎動物=カエル・ヘビ・カラスなど)では、軸索は髄鞘(ミエリン鞘)と呼ばれる絶縁体の鞘で覆われています。髄鞘は、一つごとに少しのすき間があり、軸索がむき出しになっています。このくびれをランビエ絞輪と呼んでいます。電気信号は、くびれからくびれへと絶縁体である髄鞘をジャンプしながら伝わっていきます(跳躍伝導)。伝導速度は、速いものでは秒速120mにもなります。なお、このように髄鞘に覆われた神経を有髄神経、覆われてないものを無髄神経と呼びます。
 また、脳などの中枢神経系で特に多く見られる細胞がグリア細胞という細胞です。ヒトのグリア細胞の数は神経細胞の10倍もあります。グリア細胞は、神経細胞の形態を維持したり栄養供給などにより神経細胞の働きを助けています。最近になりグリア細胞は神経成長因子や栄養因子などを分泌しており、神経細胞の再生にとって非常に重要であることがわかってきています。
 このような、神経組織を構成する神経細胞をニューロン(神経単位)と呼んでいます。

[2] シナプスとは?

 シナプスとは簡単に言えば、隣のニューロンに情報を伝える部分のことです。でも、シナプスは次の神経細胞と密着しているのではありません。数万分の1mmほどのすき間の「シナプス間隙」が存在するのです。軸索を伝わってきた電気信号はシナプス間隙を飛び越えることはできません。では、どうやってこのこの隙間を越えて隣のニューロンに情報を伝えているのでしょうか?実は、ニューロンは電気信号を化学物質に変えて情報伝達をしているのです。電気信号が伝わってくると、シナプスにある小胞から神経伝達物質という化学物質がシナプス間隙に分泌されます。神経伝達物質が次の神経細胞の細胞膜にある受容体に結合すると、電気信号が生じて情報が伝達されるという仕組みがあるのです。このシナプス間隙を超えるのにかかる時間は0.1〜0.2ミリ秒(ミリ秒=1/1000秒)ほどです。神経伝達物質としてはアセチルコリン、ノルアドレナリン、ドーパミンなど、現在までに数十種類が発見されています。

図2 シナプス(理研のHPより引用)

[3] ニューロンの種類

 ニューロンを働きで分類すると感覚ニューロン、運動ニューロン、介在ニューロンの3種類に分けられています。簡単に書くと、外からの刺激を受け取るのが感覚ニューロン、刺激を筋肉に伝えるのが運動ニューロン、ニューロン間での情報伝達をするのが介在ニューロンです。この介在ニューロンが、脳などの中枢神経系を形成しています。詳しくは以下の表を見てください。

種類 特徴 はたらき
感覚ニューロン 受容器(皮膚などの感覚器)からの刺激を中枢に伝えるニューロン。細胞本体は背根(背中側)にある(脊椎動物) 求心性(末梢から中枢へ)経路を形成
介在ニューロン ニューロン同士の連絡をするニューロンで全体としては短い。脳・脊髄・交感神経節などの中枢にある。 中枢神経系を形成
運動ニューロン 中枢からの興奮を効果器(筋肉や腺など)に伝えるニューロン。 遠心性(中心から末梢へ)経路を形成

 [4] ヒトの寿命とニューロン

 一般にヒトのからだをつくる細胞は次々と新しく作られ古くなったものは分解されます。しかし、ニューロンはあまりにも長く(例えばヒトの座骨神経では約1m)かつ精巧に出来ていて、互いに連絡しあっていることが今までの説明からも分かっていただけると思います。そのため、他の細胞と違って新しい細胞に取りかえる事は難しいのです。神経系では生後まもなく(生後一週間くらい)細胞分裂が止まり新しい細胞は作られません。ニューロンは生まれてから死ぬまで働き続けているわけで、ヒトの寿命はニューロンという細胞の寿命であるといえます。このことは、交通事故などで脊髄などの中枢神経系にダメージを負ってしまうと一生運動することが不可能になってしまうことを意味しています。

 

[5] 研究室の目標


 [4]で分かるように、自然のままでは新しい細胞は作られないので、情報伝達が出来るようになることはないのです。では、人為的にこのようなニューロンを作り出し、障害を負った人の情報伝達機能を復活させることは出来ないのでしょうか?これには数々の障壁があります。単純に死んだニューロンのかわりに新しいニューロンを入れればいいというものでもありません。特に、その新しいニューロンが他のニューロンとの連絡機能を適切に果たせるようにすることが最大の難点です。しかしながら、この難点を克服し、脊髄に損傷を負った人の正常な神経系を取り戻すこと、それが当研究室の目標の一つなのです。

 

back to Prof.Goshima top

back to HOME

Copyright (c) 2008 YCU yakuri