Specialistスペシャリスト
患者さんの重症度や個別性に合わせた適切なケアの提供と療養生活を支援していくために当院では、
専門看護師・認定看護師が医療チームの一員として積極的に活動しています。
そして、質の高い医療の提供者を育成するという視点で、
医療従事者全体への研修会の企画やコンサルテーションを行っています。
※以下の紹介内容は2021年4月1日時点のものです。
急性・重症患者看護専門看護 1名
私はクリティカルケアの専門性を活かしたケアにより、生命の危機状態にある患者さんやご家族の、生命と生活の質の向上を目指して活動しています。
集中治療の場に限らず、緊急搬送や突然の入院、手術など、急性期病院には困りごとや不安が強く、自分らしさが脅かされた患者さんやご家族が多くいます。それらの人が本来持っている力を引き出し、先端医療環境にあっても「ほっとできる」ひと時を創り出すことができればと願っています。また、危機状態にある人を支えることは、医療者にとっても容易いことではなく、真摯に向き合うほどに困難を感じる事があります。専門看護師として、そしてRRT(ラピッドレスポンスチーム)やRST(呼吸サポートチーム)、臨床倫理コンサルテーションチームの一員として医療者を支えることを大切にしています。また、看護研究にも力を入れ、臨床実践の可視化と他者との共有にも取り組んでいます。
精神看護専門看護 2名
専門的な知識を活かし、精神科だけでなく組織横断的に、入院している全ての患者さんの心のケアを担当しています。患者さんは今までの人生の中で培ってきた自己イメージが「やまい」によって崩壊・喪失という体験をしています。その中で受け入れ難い状態になるとさまざまな反応がおき、その人らしさが変化してしまうことがあります。精神科看護の視点から患者さんのこころとからだを理解して看護ケアにつなげられるよう、活動を行っています。具体的には、専門看護師としての活動のほかに、リエゾンチーム、臨床倫理コンサルテーションチームの活動と、健康管理室のメンバーとして、職員のメンタルヘルスに関する支援も行っています。
感染症看護専門看護 1名
感染症看護は、多剤耐性菌や流行性感染症の患者さんだけでなく、免疫抑制剤の使用や侵襲性の高い治療等による易感染患者さんを対象とし、乳児から高齢者まで院内全体に対応します。感染症・易感染患者さんは、「感染」により個室隔離や行動制限を強いられることがあります。患者本人、他患者に対して感染を予防しながら、患者さんにとっての最善は何か、感染対策が患者さんの治療や退院後の生活の妨げ、弊害となっていないだろうかと考え、病棟看護師や感染制御部メンバー等、多職種、チーム全体で共有し、看護を実践しています。個々の症例に丁寧に向き合い、多職種と協働していくことで院内全体の感染対策の向上につながると考え、日々、院内ラウンドや研修を行っています。
小児看護専門看護 1名
私は小児看護専門看護師として、病気や障害をかかえる子どもが、子どもらしい笑顔で成長していけることを目標に活動しています。具体的な活動内容としては、小児病棟のスタッフとしての実践、小児看護外来での相談や調整、他の部門からの子どもに関する相談、様々なケアや意思決定の場面での倫理調整、子どもと家族に携わる人の知識や技術向上となるような研修や講演などの教育、看護の質向上になるような研究を行っています。
特に多職種との協働には大きな意味を感じており、医師や看護師を始め、MSW、薬剤師、保育士、学校の教員など様々な職種から相談を受け、力を合わせて問題の解決に向けたアプローチをしています。
子どもとその家族がもっている力を最大限に発揮し、子どもとその家族らしい生活を送ることができるサポートを目指しています。
老人看護専門看護 1名
現在、私は一般病棟で勤務しながら、老人看護専門看護師として、患者さんやご家族への直接的なケアや、様々な医療チームとの連携を通して、高齢者のもっている力を引き出し、保持できることを目標に活動しています。せん妄・認知症ケアリンクナース会のメンバーとして部署での事例検討会に携わることで、せん妄・認知症ケアの向上に取り組んでいます。また、抑制やフレイル・認知症などの研修を担当し、院内外の教育にも取り組んでいます。
急性期病院として、必要な治療が確実に安全に行われるよう取り組みながらも、高齢者の思いや気持ちを尊重し、高齢者に寄り添うケア・サポートを目指しています。
感染管理認定看護 2名
近頃、恐竜も感染症に悩まされていたという興味深い論文が発表されました。人類も疫病や伝染病と闘ってきた長い歴史があり、エボラ出血熱やMERS、新型インフルエンザなど現在も脅威にさらされています。この目に見えない細菌やウィルスから患者さんやその家族、職員、来院者を守ることが感染管理認定看護師の大きな役割です。
私たちは感染を予防する、感染の拡大を防ぐという2つの視点で活動をしています。そのためには医師・看護師・コメディカルをはじめ、患者さんやご家族の感染対策への理解と協力が不可欠です。対策の充実のために院内ラウンドや研修、コンサルテーションを通し、臨床現場と協力しながら院内での活動を行っています。
皮膚・排泄ケア認定看護 4名
私たち皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCN)は、褥瘡などの創傷ケア、ストーマ造設前後のケア、失禁などの排泄ケアに関する患者ケア方法の相談や実施、そのケアに関するスキル向上のための指導役割を担う看護師です。現在、超高齢社会となり、院内だけではなく病院から地域へスムーズな包括ケアの連携が求められています。院内スキンケアの充実とともに、近隣地域の褥瘡予防対策やスキンケア向上に貢献できるように取り組んでいます。Face-to-faceで患者さんに寄り添えるWOC連携を目指します。
がん性疼痛看護認定看護 2名
痛みとは、常に本人にしか感じられない主観的な感覚です。がん患者さんの痛みは持続性であり、強い痛みが多く、がんの進行とともに発生頻度が増し約90%の方が亡くなるまでに経験するという報告があります。
WHOによると、70~90%の痛みは患者さんが受け入れられる程度にまで緩和できるという見解を示しています。また、早期から緩和ケアを行うことで痛みはさらに軽減できるといわれています。
私たちがん性疼痛看護認定看護師は、がん患者さんとそのご家族を全人的にとらえ、適切なアセスメントを行い、良好なQOLを実現する疼痛緩和ケアを提供しています。
がん化学療法看護認定看護 2名
がん薬物療法は、あらゆる悪性新生物の初期から終末期までの全ての時期に対して行われており、がん治療の重要な位置にあります。当院でも、さまざまな悪性新生物に対して多くの薬物療法が行われています。
がん化学療法看護認定看護師は、がん薬物療法を行う患者さんやご家族に対して、意思決定の支援、確実で安全な薬剤の投与や治療における情報提供を行い、患者個々のQOL(生活の質)を保ち、日常生活を安楽に過ごすことができるように、多職種と協働しながら支援しています。また、スタッフに対してがん薬物療法の知識提供のための勉強会の企画・運営、患者ケアのサポートを行っています。
救急看護認定看護 2名
救急看護認定看護師の役割は、救急場面において、危機状況にある患者さんとご家族の問題を的確に把握し支援すること、救急看護の最新の知見や科学的根拠を持ったケアを提供することです。私たちは、これらを部署の役割モデルになりながら実践や指導・相談を行い、救急看護の質向上に努めています。
院内では心肺蘇生講習会のインストラクターやインストラクターの育成、災害対応や急変時の対応研修の企画実施等を行っています。また、RSTの一員となり毎週各病棟を巡回するなど組織横断的活動を行い、病院全体の看護の質向上だけでなくチーム医療の推進にも努めています。
集中ケア認定看護 6名
私たち集中ケア認定看護師は、生命の危機的状況にある患者さんの症状と今後の変化を予測し、重篤化の回避に向けた援助を行います。治療を進める上で伴う苦痛の緩和や、入院生活の安全・安楽に努め、機能を低下させずにQOLを維持した早期回復を目指していきます。部署内においては、実践モデルとしてベストプラクティスの提供を目指し、日々活動しています。
院内ではRST(呼吸サポートチーム)やRRT(院内迅速対応チーム)の一員として活動しています。RSTでは、主に人工呼吸器からの早期離脱や呼吸管理全般の安全推進、コンサルテーションを行っています。RRTでは、入院患者の状態変化に迅速に対応し、状態回復に向けて、すべての部署を支援しています。
新生児集中ケア認定看護 2名
新生児はお母さんのお腹の中から出てくることで、一生のうちで一番大きな生理的変化をとげ、子宮外への環境へと適応していきます。私たち新生児集中ケア認定看護師は主に新生児集中治療室(NICU)で新生児期の看護における専門的な知識・技術を実践や勉強会を通してスタッフと共有し、よりよい看護が提供できるよう活動しています。
また、急性期や倫理的配慮を必要とするお子さんの治療方針を医師とカンファレンスで確認し、治療と看護が円滑に提供されるよう調整をします。
院内活動では新生児科医師・産科医師、産科助産師と協力して、新生児蘇生法(NCPR)の講習会を開催し、院内・院外から受講生を受け入れています。
また、RSTの一員として院内の専門看護師・認定看護師と協働し、新生児のみならず院内で人工呼吸器管理を受けられている方の早期離脱と安全で適切な呼吸管理を目指して巡回を行っています。
小児救急看護認定看護 1名
現代社会において、少子化、核家族化が進み、子どもとその家族を取り巻く環境は大きく変化しています。子どもは大人と比べ急激に状態が悪化しやすく、自らの訴えに乏しいため、見極めには高度な知識と判断できる能力が必要です。また、子どもの人権を守り安心安全に検査や処置が受けられるような工夫や育児支援、子ども虐待への対応など、社会的要請に応える能力も必要とされています。小児救急看護認定看護師はそのような能力を発揮し、子どもや家族が安心して医療や社会的サポートを受けられるよう環境を整える役割を担っています。私は小児救急看護認定看護師としてはまだまだ未熟ですが、皆様の期待に沿えるよう努力致します。
不妊症看護認定看護 2名
不妊治療の保険適応拡大や生殖補助医療の法整備が検討されていますが、不妊はなかなか妊娠しない時に初めて直面するカップルの問題で、費用だけでなく意思決定支援が必要です。私たち不妊症看護認定看護師は、不妊治療前・中・後の対象者に対して治療過程に応じた看護実践を目指し、自己決定を尊重した生殖看護を目標に活動しています。具体的には、不妊カップルの不妊看護外来、妊孕性温存を希望する方への情報提供、卵子提供など複雑な治療後や合併症のある方への妊娠・分娩・産褥を健康に過ごすためのサポート、生殖医療に関わる看護職者への教育支援と連携、横浜市委託事業である不妊・不育相談などを行っています。さらに若年者に対する不妊予防など健康教育の一翼を担うことができればと考えています。
慢性心不全看護認定看護 1名
当院は第三次救急施設であり、入院される心不全患者さんの病態は、劇症型心筋症など重症例から、慢性心不全の増悪まで様々です。
少子高齢の社会背景から、当然高齢者の心不全患者さんは増加していますが、30歳代・40歳代の若い患者さんも少なくありません。
多様な患者背景と価値観を持つ患者さんとご家族が、少しでも「その人らしく」心不全と共に生活して行けるように、外来看護師による継続サポートや、外来心臓リハビリテーションなど、退院後もサポート継続しています。
私は、慢性心不全認定看護師として、「患者さんの事を知る」という事を大切にしています。
患者さんが本当の気持ちを話してくれるような看護を目指しています。
摂食・嚥下障害認定看護 2名
疾患や加齢によって、口から食べることが出来なくなった患者さんに、再び口から食べる喜びを取り戻してもらうために、多職種チームの一員として活動しています。患者さんがひとくちの水やゼリーを飲み込んだ後に見せてくれる笑顔と「おいしい」の言葉は、認定看護師として最もやりがいを感じるときです。小児から高齢者まで対応する年齢層は幅広く、疾患も様々です。他職種のスペシャリストとの連携は、看護師としてだけでなく医療者としての知見も得ることが出来ます。急性期病院を退院した後の療養先への情報提供も重要な役割のひとつです。看護師として患者さんの全体像をとらえ、今だけでなく今後なにが必要なのかも考え支援しています。
糖尿病看護認定看護 1名
高齢化を背景にセルフケアの困難さは増し、食生活の欧米化、生活習慣の変化により糖尿病患者さんは増加の一途をたどり、5人に1人が糖尿病と言われる時代を迎えています。
糖尿病患者さんを生活者(糖尿病を持ちながら生活する人)としてとらえ、合併症の発症や進行を阻止して、その人らしく健やかな生活の継続と生涯続くセルフケアや療養生活の支援をすることが糖尿病ケアの役割です。私は患者さんとそのご家族や重要他者のQOL向上と悪化予防、病期に応じた健康な生活の継続、発症予防にも貢献できるよう医師、コメディカルと協働して糖尿病ケアの向上に努めています。「糖尿病とうまく付き合っていく方法」を一緒に考えていきたいです。
緩和ケア認定看護 2名
緩和ケアとは、生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のクオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を、痛みやその他の身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな問題を早期に見出し的確に評価を行ない対応することで、苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチのことをいいます。がんの患者さんは、痛みや呼吸困難感などの身体的な苦痛や予後に対する不安など様々な苦痛を抱えており、それを緩和出来るよう直接的なケアを行っています。再発時や治療中断などにおける意思決定支援、鎮静などの倫理的問題の検討、患者さんや御家族の悲嘆に伴う支援を行い、必要時緩和ケアチームや倫理コンサルテーションチームと連携しています。また、スタッフへ緩和ケアに関する勉強会を行ったり、緩和ケアにおける相談を受け、看護の質の向上に繋がるよう活動しています。私達は患者さん一人一人の価値観を大切にし、思いに耳を傾けながら、専門的な知識と技術を生かして最善の看護を提供しながら、その人らしく過ごせることを目標に支援しています。
透析看護認定看護 1名
透析看護認定看護師として関わる対象者は、透析治療を受けている患者さんや家族だけではなく、透析療法を受ける前の慢性腎臓病の患者や腎移植手術前後の患者、その患者さんの家族です。
私は腎臓内科、泌尿器科の病棟に所属しながら、腎代替療法選択外来も担当しています。
腎臓の代わりをする治療(腎代替療法)は血液透析、腹膜透析、腎移植があります。腎代替療法選択外来では、今後、腎代替療法が必要とされる患者さんや家族を対象に医師や栄養管理士と協働し、腎代替療法の情報提供や意思決定支援を行っています。
病棟では専門的な知識を活かし、腎臓機能低下の進行を抑えるための生活習慣や食事、血圧の管理ができるようセルフケアの支援を行っています。また、腎機能低下が進行し、血液透析や腹膜透析、腎移植を必要とする患者さんや家族には各治療を取り入れながらセルフケアが行えるよう支援しています。私が関わる患者さんは長期にわたる療養生活のため、その人らしく過ごせるように生活者として捉え関わっています。
認知症看護認定看護 1名
高齢化が進んでいる現在、急性期治療を受ける認知症患者さんは増加傾向にあります。認知症患者さんは、身体的、精神的、社会的な苦痛や入院という慣れない環境の中で不安が募り、混乱しやすい状況にあります。認知症看護は、看護師として全人的にアセスメントしながら、認知症患者さんの思いに寄り添う姿勢を持ち、チームで援助する必要があります。
私は脳神経内科、脳神経外科の病棟でスタッフとして実践しながら、各部署のせん妄・認知症ケアリンクナース、精神看護専門看護師、老人看護専門看護師と協働して、院内の認知症看護の質向上に取り組んでいます。今後も認知症患者さんに、より安心安全な療養環境の提供を目指して、支援体制をさらに充実させていきたいと考えています。
手術看護認定看護 1名
手術室という特殊な環境は看護師以上に患者の不安や緊張が大きくなるところです。
多くの患者は自分の人生や生活を維持するため、きちんとした目標があって意思決定の元手術治療を選択し手術を受けています。手術室看護師は周術期という考えのもと、術前外来から術中、術後の継続的な看護の提供を目的としています。
手術室看護師は手術室内での患者の一番の理解者であり、代弁者として看護を提供しています。麻酔中の患者の訴えはほとんどありません。しかし、手術室看護師は患者の代弁者として広い視野、冷静な判断力、アセスメント能力を活用して患者の代弁者として看護できる部署です。
現在チーム医療が必要と言われています。手術室では多くの医療従事者、多職種との連携などチーム医療が最重要であり、手術室看護師はパイプ役としてとても重要な立場です。
特殊で難しい環境ですが、看護として患者のことを第一に考え、安全で安心できる手術の提供のため日々努力していきたいと考えています。
訪問看護認定看護 1名
地域連携は急性期病院にとって非常に大事な取り組みです。とくに今後の高齢社会において、急性期の治療を終えた患者さまが住み慣れた自宅に帰れるように支援出来る病院である必要があります。私は立場上、患者さまの直接ケアは出来ませんが、患者様の生活を見据えた看護ケアの実践が出来るような仕組み作りや教育を行っています。また現在は院内全体でPFM(Patient Flow Manegiment)の仕組み作りに取り組んでいます。患者様が入院する前に、可能であれば、外来通院中にリスクを把握して介入に繋がるような体制整備を進めています。