近年国内外で救急医療を取り扱うテレビドラマや特集をよく見かけるようになりました。
一般的に麻酔科医は手術中の麻酔をするイメージがあり、救急医療領域とはその関係性が希薄に思われるかもしれません。しかしそうではありません。
救急医療の現場でも、麻酔科医がその専門性を最大限に活かす場が数多く存在し、非常に重要な立場を担っているのです。
病院内外を問わず、実際の救急医療の現場における救急患者への初期対応で最も重要となるのは、
“A(Airway/気道)・B(Breathing/呼吸)・C(Circulation/循環)・D(Dysfunction of CNS/中枢神経系障害)・E(Environment/体温)の評価と管理”です。
いかなる症例においても、A・B・C・D・E”を適切に評価できずに、診断や治療の次のステップに進むことは許されません。
救急部門において最も重視される “A・B・C・D・Eの確保”があってこそ救急治療チームが思う存分活躍できるのです。
そんな救急医療の現場で、個々の症例の病態を把握しながら、次の診断・治療を速やかに行えるように適切に“A・B・C・D・E”を評価し管理をすること、
また同時に司令塔となって必要な人員を集め、適切な指示を出し、救急治療チームをまとめ上げていくことは、
まさに「周術期のgeneral physician」である麻酔科医が、その専門性を最大限に活かす場面なのです。
麻酔科医として救急医療分野で活躍していきたい、いざという時患者さんの命を守れるような技術を身に付けたいと願う麻酔科医のために、
我々は臨床提携病院間に救急研修ワーキンググループを設け、研修目標・プログラムを作成しています。
将来的に救急専従を希望する先生や短期間の救急研修を希望する先生、高次救急施設を希望する先生や1・2次救急中心のER型救急施設を希望する先生、
たくさんの要望に対してお応えできるよう、効率的な研修の場を供給しています。
平成19年1月23日、附属病院が横浜市二次救急輪番システムへ参画したことに伴い、救急部が創設され、その中心的役割を麻酔科医師が担うこととなりました。
Walk inから救急搬送症例まで、いわゆるCommon Diseaseから緊急度の高い疾患まで、救急担当麻酔科医師が初期・後期研修医とともに初期診療に対応しています。
ERでは重症度・緊急度を評価のうえ、診察、各種検査を実施し、検査結果を検討の上、必要に応じて専門科医師とともに処置を実施するシステムをとっています。
また、Emergency Response Team(ERT)として院内救急コールに対応し、生命の危機が切迫している症例への初期医療対応を実践しています。
高度救命救急センターは、独立型救命救急センターとして横浜市随一の規模と設備を誇り、年間外来症例数約1200件に対応しています。
麻酔科からは救命センターICUおよび熱傷センターに5名の常勤医師を派遣しています(2007年4月現在)。
センターでは主に、多発外傷や心肺停止、ショック、呼吸不全、急性中毒、脳血管障害、重症熱傷などの三次救急症例を対象とし、
麻酔科医師は初期治療から集中治療を通して一貫したチーム医療を展開する中で、中心的役割を担っています。
また近隣診療圏において院外救急医療活動を展開してプレホスピタルケアに積極的に参画しており、
MICU(Mobile Intensive Care Unit:本邦でいうところのドクタカー)チームの担い手となっています。
帝京大学附属病院救命救急センター
公立昭和病院救急医学科
藤沢市民病院救命救急センター
藤沢湘南台病院救急部
横須賀共済病院救急部
茅ケ崎市立病院救急部
武蔵野赤十字病院救命救急センター
|
|
|
|