ペインクリニック(痛み外来)とは

 我々は痛み(=ペイン)の治療を行っています。 痛みにはさまざまな原因や種類のものがありますが、そのほとんど全てがペインクリニックの対象となります。 また、ペインクリニックの知識や技術を応用できる、痛み以外の疾患でも治療の対象となる病気があります。



 痛みの種類 

 痛みの種類は、侵害受容性疼痛と神経因性疼痛の2つにわけられます。

 侵害受容性疼痛とは、傷や骨折、炎症など通常私たちもよく経験するもので、身体の異常を伝えるという本来の痛みの機能に由来します。 神経因性疼痛とは、帯状疱疹、三叉神経痛など神経自体が発する痛みのことで、痛みそのものに対し治療が必要となります。



 対象となる病気 

 腰痛・下肢痛 

腰椎椎間板ヘルニア、変形性脊椎症、腰部脊柱管狭窄症、
術後性腰下肢痛など

 首・上肢の痛み 

頚椎椎間板ヘルニア、頚部脊柱管狭窄症、肩関節周囲炎、
胸郭出口症候群、腕神経叢引き抜き損傷など

 その他の痛み 

頭痛、三叉神経痛、帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛、術後痛、
複合性局所疼痛症候群、癌性疼痛、閉塞性動脈硬化症、バージャー病など

 痛み以外の疾患 

突発性難聴、顔面神経痳痺、顔面痙攣、
眼瞼痙攣、痙性斜頚など



 外来診療 

 外来診療では、神経ブロック、レーザー照射および薬の内服が中心となります。
 ペインクリニックでは、いわゆる痛み止め(消炎鎮痛剤)だけでなく、痛みの種類により抗うつ薬、 抗けいれん薬、抗不整脈薬などを併用することで、神経痛など慢性の痛みの治療をします。

 また、一部の神経ブロックは、安全と正確を期してX線透視下で行っています。(火曜日・金曜日の午後、完全予約制)

 また、顔面痙攣・眼瞼痙攣・痙性斜頚に対しては、ボツリヌス毒素を使用した治療も行っています。(月曜・木曜の午後、完全予約制)

 通常の外来受診に関しましては初診の場合、平日10時30分までに受付をしていただければ、紹介状が無くても随時診察いたします。



 外来診療担当表 

小川賢一 小川賢一 小川賢一   小川賢一
  大田周平 大田周平 大田周平 大田周平
大木浩     大木浩 大木浩
中橋勇典 中橋勇典 中橋勇典   中橋勇典



 入院での治療 

 高周波熱凝固法による神経ブロック、および脊髄刺激装置を用いる治療(手術が必要)では、効果が長く持続することが特徴ですが、通常入院が必要となります。 当科では4床の入院に対し、医師が4人で対応しており、より濃厚なケアが可能になっております。

 高周波熱凝固法は、下の写真のような機械を使って針の先端に熱を発生し、神経の性質を変えて痛みの伝達を抑制します。






 癌性疼痛・緩和ケア 

 緩和ケアとは、主にがん患者とその家族が、疾病によって生じる様々な身体的苦痛や精神的苦痛、社会的困難に対して立ち向かい、 充実した生活を送るために支援していく医療のことです。

 がん患者は様々な困難に直面しており、これらに対処、支援していくためには、治療担当科医師だけでは困難な場合もあります。 当院では緩和ケアチームを平成14年に結成し、様々な領域の専門スタッフが協力し合って主治医と共にがん患者の苦痛の緩和にあたって来ました。 緩和ケアチームは身体的苦痛の緩和を担当するペインクリニック医師、精神的苦痛の緩和を担当する神経科医師、がん性疼痛看護認定看護師、 薬剤師などから構成され、定期的に病棟を回診しています。

 しかし現時点では、当院のがん患者全てに関わるのではなく、主治医からの要請があった場合にベッドサイドにお伺いし、診察や相談に携わっています。 したがって、緩和ケアに興味がある方や薬の内容について詳しく聞きたい方、精神的につらい、夜眠れない、痛みがとれない‥‥など、 どのようなことでも緩和ケア受診に関してご希望があれば、主治医か病棟看護師に申し出てください。緩和ケアチームのメンバーが病棟にお伺いいたします。


緩和ケアチーム病棟カンファランス風景


 おわりに 

 ペインクリニックでは、一人ひとりの身体的状況やライフスタイルを考えて、生活の質の維持と向上を目標に治療内容を選択していきます。

 痛みでお悩みの患者様の一助となることができれば幸いです。


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2007.8.1. Renewal.  Assisted by KSP