2020年7月3日

守研究室に興味がある学生の皆さんへ

守研究室で卒論を書きたい横市生へ

・毎年2-3名配属されます
3年後期から、毎年2-3名を守研の学生として受け入れています。
守が卒論の指導をしますが、カナリー研とは実験室の大部分を共有し、またミーティング等も一緒に行うことが多いです。
 

・配属までの流れ
3年前期の科目「課題提案型演習Bb」で、希望研究室の論文を読んでレポートを作成する課題があります(年によって変わるかもしれません)。
***2024年は形式が変わり、6月に発表会があるみたいです。ガイダンスの内容に従ってください***

同じく「課題提案型演習Bb」で、各研究室の紹介を聴く時間があります。その後から配属希望調査までの期間に、希望者との面談・見学の時間を設けています。
希望者が多くなりそうな場合は、この時点で情報共有します。

配属希望調査の後、3年後期から正式に配属になります。

研究室の見学は上記の期間以外でも、いつでも可能です。守(morij[at]yokohama-cu.ac.jp)までご連絡の上、アポをとってください。
また、例年5月頃にカナリー・守担当の学生実験(自然科学実験IIb)があります。教員や研究室の先輩と雑談できるチャンスです。
 

・大学院or学部卒就職
希望者が多かった場合、大学院進学希望者が優先されるか? というと、そういうわけでもありません。
ですが、大学院に進学するか、学部卒で就職するか、面談の時点で志望を伝えていただけると嬉しいです。

   

守研で学べること 

守研究室は八景キャンパスでは唯一、微生物(特に原核生物=バクテリアとアーキア)のみを研究対象としている研究室です。動物や植物は(今のところ)全く扱いません。微生物といっても色々いますが、特に、有害な化学物質や重金属で汚染された環境中に生息する微生物の生態に興味を持っています。汚染環境に適応した微生物について詳しく調べることで、未知の機能を持った新しい微生物を見つけたり、それを利用して環境負荷を改善できたりするかもしれません。

起こり得る研究対象のミスマッチ:
「乳酸菌や、プロバイオティクスに興味がある」  → 腸内細菌は扱っておりません
「微生物を使って、お酒を醸したい」       → 食品に関わる微生物は扱っておりません
「病原菌やウィルスを研究して、世界を救いたい」 → 病原性のあるものは(略

カナリー研・守研どちらも、環境由来の微生物の培養実験を通して、無菌操作を始めとした基本的な微生物学実験手法を学ぶことができます。その後、カナリー研では質量分析装置を用いた微生物代謝産物の化学分析がメインとなるのに対し、守研では微生物のゲノム解析がメインとなります。

   

具体的に、何やるの? 

 環境中から微生物を捕まえて来るため、まず現地に赴き、水や土壌などの試料の採集(サンプリング)を行います。ラボに持って帰って来た後、主に2つのアプローチで実験を進めます。1つ目は微生物の培養をベースとした(Culture-based)実験、もう1つは培養に頼らない(Culture-independent)実験です。

 汚染環境で密かに暮らしている微生物は、1種類だけとは考えにくいです。環境中では膨大な種類の微生物が常に競合しながらひしめき合っており、汚染などの環境変化に対して、生態系をガラリと変えて適応していると考えられます。それでも、複雑な微生物生態系の中で、重要な役割を果たす「キープレイヤー」が存在することが多いです。そんなキープレイヤーを捕まえて来て、フラスコの中で培養して増やし、その詳しい生態・生理機構を知ることができれば、汚染環境に適応した微生物生態系を詳しく知る大きな足がかりとなるでしょう。誰も見つけていない、新種の微生物が見つかることも珍しくありません。

 しかし、そう簡単にはいきません。何しろ、環境中の99%以上の微生物は実験室で純粋培養できていないとも言われており、その「キープレイヤー」を培養・単離できる可能性は決して高くありません。もし、運良くうまくいけば儲けものです。そこで、Culture-independent実験の出番です。微生物を培養せずとも、採集した微生物群集のDNAを丸ごと回収し、次世代シーケンサーを用いて解析すれば、どんな種類の微生物がどれくらいの割合で存在するのかがわかります。さらに、断片的な遺伝子情報からそれぞれの微生物のゲノム情報を復元し、その微生物がどんな特徴を持っているか予測することもできます。こういった手法を、メタゲノム解析(Metagenomics)といいます。メタゲノム解析は強力なツールですので、昨今の環境微生物学ではこうしたデータサイエンスが主流になってきています。

 じゃ、培養なんかしないで、メタゲノム解析だけやればいいじゃん、と思うかもしれませんが、そうでもありません。データは所詮データでしかなく、ゲノム情報だけでは、その微生物の特徴や能力を完全に証明することはできません。それを証明するには、生きているものを捕まえて来て増やし、実際に確認する必要があります。培養が難しいものも、何とかして培養できないか、試行錯誤を繰り返します。機能がわからない遺伝子を見つけたら、それを大腸菌に代わりに発現してもらい、機能を調べるなんてこともします。


 このように、環境中の複雑な微生物生態系全体を詳しく理解するためには、Culture-based実験とCulture-independent実験の両方が求められるのです。


研究テーマはどうやって決める? 

 一人ひとりの独立した研究テーマを守が提案し、それぞれ選んで頂きます。海(沿岸)にサンプリングに行くチームと、川にサンプリングに行くチームのどちらかに加わることになると思います。 サンプリングや実験はチームで一緒に行うこともあります。

 ただし、これ以外でも、「こんな環境中で暮らす微生物を調べてみたい、次世代シーケンサーで微生物群集を調べてみたい」といった類の内容で、個人で興味のある研究テーマを提案して頂いても構いません(配属前にご相談ください)。守がやったことのないテーマでも、面白そうであればアリです!
   

   

このページを読んで、さらに興味の湧いた方は 

 他に聞きたいことがあれば、守 (morij[at]yokohama-cu.ac.jp) までご連絡ください。