生物統計学(biostatistics)は、その名が表わす通り、医学・生物学領域に特化した応用統計学の一大分野であり、本教室はその中でも特に臨床研究や疫学研究に焦点をあてた活動を展開しています。統計学をベースとして、臨床研究や疫学研究の計画をいかに策定し、データを効率的に収集するか?(デザイン)、得られたデータをいかに分析して価値を創出するか?(解析)を研究する学問で、治療効果や因果関係に関する推論を正しく導けるようにする、そのための体系的な方法論の構築を目指しています。

近年は「データサイエンス」という言葉を耳にする機会が多くなりましたが、生物統計家は、医師などの専門家と協力しながら、生命や健康に直結する重要課題に取り組むプロフェッショナルであり、医療現場におけるデータサイエンティストそのものと言えます。今後はレセプトや電子カルテなどに関するビッグデータ分野の成長も予想され、これらの領域の開拓も含めて、日本の生物統計学の未来と可能性はますます広がりを見せるでしょう。

われわれの教室は世界に向けて研究成果を発信する人材の育成に貢献し、活気あふれる学問の場を提供し続けることを目標にしています。そのためには、生物統計学の数理基盤に関する教育と共に、実践の場が必要です。当教室では2つの大学附属病院やわが国を代表するハイボリュームセンター、海外医療機関などを通じた多様な実践教育を行っており、机上の学問ではない生物統計学の本質を学ぶことができます。

横浜市立大学は、東は東京湾、南は横須賀や鎌倉に面した風光明媚な景勝地に位置しており、観光地であるベイブリッジ、みなとみらい、山下公園、中華街なども至近です。この横浜の地で、生物統計学を通じた医療の進歩への貢献を目指す人たちをお待ちしています。